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エネルギー業界の今を発信する系統用蓄電池(BESS)ニュース
通称:ベスニュース
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作成日:2026.06.30

更新日:

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需給調整:複合・その他

#電力需給調整力取引所

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#容量市場

※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。

【2026年7月1日改定】知らないと損する蓄電池の新ルール!
〜申請忘れでペナルティ1.5倍も…!事業者必見の7つの注意点〜

【2026年7月1日改定】知らないと損する蓄電池の新ルール!

2026年6月18日、EPRX(一般社団法人 電力需給調整力取引所)は、需給調整市場の取引規程類を2026年7月1日付で改定すると発表しました。
一般送配電9社の余力活用ルールも、同じ日に改定されます。今回の中心は、新しい市場商品の創設ではありません。
BESS(Battery Energy Storage System、蓄電池システム)が容量市場と需給調整市場の両方に関係し、同じ時間帯に複数の指令や実効性テストが重なった場合の扱いを整理するものです。
特に重要なのは、通常の発動指令では「機器点参入」と「受電点参入」で優先順位が異なることです。
さらに、実効性テストを優先して需給調整市場の義務を果たせない場合、期限内に代替不可申請を行わなければ、アセスメントⅠのペナルティ料金倍率が1.5倍となる可能性があります。

要点まとめ

・EPRXと一般送配電9社の関連ルールが、2026年7月1日に改定されます。

・通常の発動指令と需給調整市場が重なった場合、機器点か受電点かで優先する指令が異なります。

・実効性テストと重なった際、代替不可申請を行わなければペナルティ料金倍率が1.5倍となる場合があります。

何が決まったのか

何が決まったのか

1.EPRXの取引規程類は2026年7月1日から実施

EPRXは2026年5月11日から5月21日まで意見募集を実施し、6月18日に回答結果と最終版の規程類を公表しました。公表された主な文書は、次のとおりです。

・三次調整力②・三次調整力①・二次調整力②に関する取引規程

・二次調整力①・一次調整力・複合約定に関する取引規程

・全商品をまとめた一連版

・新旧比較表

・取引ガイド〔全商品・第10版〕

需給調整市場とは、電気の使用量と発電量のずれを埋めるため、短時間で出力を増減できる能力を取引する市場です。
今回の主な改定項目は、発動指令電源の扱い、事前審査で提出するデータ、代表契約者制度を利用した低圧機器点参入などです。
これは意見募集段階の「案」ではなく、2026年7月1日実施の最終版として公表されています。

2.一般送配電9社の余力活用ルールも同日改定

同じWGの資料2では、系統用蓄電池を中心とした接続検討件数の上限も示されています。接続検討とは、蓄電池や発電設備を電力系統につなげるか、送電線や変電所の状況を調べる手続きです。ただし、接続検討上限と今回の大口需要規律は別の制度です。

送配電網協議会は、「余力の運用規程」第5版と「余力活用ガイド」第5版を、2026年7月1日実施として公表しました。
対象は、北海道電力ネットワーク、東北電力ネットワーク、東京電力パワーグリッド、中部電力パワーグリッド、北陸電力送配電、関西電力送配電、中国電力ネットワーク、四国電力送配電、九州電力送配電の9社です。
余力活用とは、ゲートクローズ後に発電所や蓄電池へ残っている出力調整の余地を、一般送配電事業者が調整力として活用する仕組みです。
今回、その運用にも実効性テストと重複した場合の例外が追加されました。

誰に影響するのか

誰に影響するのか

1.影響が大きいのは複数制度に参加するBESS

特に確認が必要なのは、次の事業者です。

・容量市場の発動指令電源と需給調整市場の両方に関係するBESS事業者

・発動指令電源に含まれる蓄電池を機器点で登録している事業者

・受電点で需給調整市場へ参加している発動指令電源

・小型蓄電池を束ねるアグリゲーター

・一般送配電事業者と余力活用契約を締結している事業者

設備運用を外部へ委託している場合は、誰が指令を確認し、誰が代替不可を判断し、誰が申請するのかを契約上も明確にする必要があります。

2.すべての蓄電池所有者が対象ではない

市場に参加していない家庭用蓄電池の所有者が、自らMMSで申請を行うルールではありません。
主な対象は、需給調整市場、容量市場の発動指令電源、余力活用契約のいずれかに関係するリソースです。
ただし、アグリゲーターを通じて参加している家庭用・業務用蓄電池では、設備情報や小売電気事業者情報の確認を求められる場合があります。

事業者が確認すべき7つの注意点

事業者が確認すべき7つの注意点

1.注意点1:通常の発動指令との競合は、機器点か受電点かで優先が変わる

機器点参入とは、蓄電池など個別機器の計測値を使って市場に参加する方法です。
受電点参入とは、施設全体と電力系統の境界で計測した値を使う方法です。
通常の発動指令と需給調整市場の指令が重なった場合は、次のように整理されます。

【機器点参入】

・優先するもの:容量市場の発動指令
・必要な対応:調整力を供出できない場合は、代替不可申請を行う

【受電点参入】

・優先するもの:需給調整市場の調整力指令
・必要な対応:容量市場側の供給力不足が調整力指令の影響によるものだと、合理的に説明する

【実効性テストと重なった場合】

・対象:機器点参入、受電点参入の両方
・優先するもの:実効性テスト
・必要な対応:実効性テストと需給調整市場の義務を同時に満たせない場合は、代替不可申請を行う

受電点参入では、調整力指令の影響を合理的に説明できる場合に、容量市場側の履行義務を満たしたものとみなされます。自動的に免除されるわけではありません。機器点参入で扱いが異なるのは、機器点の計測値を受電点相当に換算した値と、実際の受電点計測値が一致しない場合があり、重複量を正しく評価できない可能性があるためです。

2.注意点2:実効性テストと調整力指令が両立しないときは、実効性テストを優先する

実効性テストとは、容量市場の発動指令電源が、契約した供給力を実際に出せるか確認する試験です。
実効性テストと調整力指令が重なった場合、機器点・受電点を問わず、実効性テストに従います。
ただし、両方への対応が禁止されるわけではありません。出力や蓄電残量に余裕があり、双方を満たせる場合は、両方に対応できます。
重要なのは、重なっただけで需給調整市場の義務が自動的になくなるわけではないことです。両立できない場合に、代替不可申請が必要となります。

3.注意点3:代替不可申請がなければペナルティ倍率1.5倍になり得る

実効性テストを優先したため調整力を供出できず、代替不可申請も行わなかった場合、アセスメントⅠのペナルティ料金倍率は1.5倍となります。
アセスメントとは、約定した調整力を供出できたか、指令どおりに応動できたかを確認する評価です。実効性テストの実施指令を受け、適切に代替不可申請を行った場合は、アセスメントⅠの倍率が1.0倍となります。
ただし、1.0倍は完全免除ではありません。EPRXは、これを「ΔkW料金のリリース」と説明しています。
また、約定量の全量について代替不可申請を行った場合は、アセスメントⅡの対象ΔkWがゼロとなり、不適合回数には積算されません。

4.注意点4:本件ではMMS登録に加えて様式23も必要

MMSとは、需給調整市場の入札や各種登録を行う市場システムです。調整力を供出できないことが分かった場合は、対象となる提供期間の1コマ目のGC(ゲートクローズ、計画変更などの締切時刻)までに、MMSへ代替不可の内容を登録します。
さらに、実効性テストや発動指令を理由とする代替不可申請では、様式23「ΔkW約定量供出不可理由届出書」を一般送配電事業者へ提出する必要があります。
様式23が不要となる例外は、地内系統混雑による代替不可申請に限定されています。申請期限を過ぎてから様式25で説明しても、倍率1.0倍や不適合回数除外の対象にはなりません。

5.注意点5:テスト前後の充電は1.0倍特例の対象外

蓄電池では、テスト前に充電し、テスト後に充電残量を回復させる必要があります。
この充電残量をSOC(State of Charge、充電率)といいます。しかし、実効性テストに伴う倍率1.0倍の対象は、供給力を提供する原則3時間に限定されています。
テスト前の充電や、テスト後のSOC回復時間は対象に含まれません。したがって、前後の充電によって別の約定へ対応できなくなるリスクは、BESS事業者側で管理する必要があります。

6.注意点6:ΔkW料金のリリースは事業上のリスクと整理された

ΔkWとは、蓄電池や発電所が基準となる計画値から、どれだけ出力を増減できるかを示す調整能力です。
実効性テストを優先した結果、需給調整市場のΔkW料金がリリースされる場合について、EPRXは逸失利益とはみなさず、容量市場と需給調整市場の双方に参加する事業者が負うリスクと整理しました。
今回の一次情報では、このΔkW料金を別途補填する仕組みは示されていません。複数市場の収入を単純に足し算するのではなく、指令重複による収入減少も考慮する必要があります。

7.注意点7:低圧リソースの書類と余力活用にも変更がある

低圧・小規模の機器点リソースでは、事前審査時の敷地平面図などは必須ではないことが明確化されました。
一方、低圧リソースの登録情報は、実需給時点の情報を使って算定し、後から過去にさかのぼる修正は行わないとされています。
小売電気事業者情報の入力も、スイッチング管理を緩和する措置ではありません。余力活用側では、実効性テストの供給力提供期間と重複した場合を、各30分コマの調整電力量算定対象から外す例外が追加されました。
これは余力活用契約の対象となる電源や蓄電池に関する変更であり、すべてのBESSへ自動的に適用されるものではありません。

実務で何を確認すべきか

実務で何を確認すべきか

1.指令を受けたときの6ステップ

指令を受けた際は、次の順番で判断すると整理しやすくなります。

1.通常の発動指令か、実効性テストかを確認する

2.需給調整市場の約定時間と重なっているか確認する

3.対象リソースが機器点参入か受電点参入か確認する

4.出力とSOCから、両方を同時に満たせるか判断する

5.両立できなければ、優先ルールに従ってMMSへ代替不可申請を行う

6.様式23を提出し、指令時刻、SOC、判断理由、操作時刻を保存する

設備の制御担当者だけでなく、MMS操作と書類提出を行う担当者まで、夜間・休日を含めて動ける体制が必要です。

2.収益計画に織り込むべきコスト

今回の一次情報には、BESS事業の標準的なROI計算式は示されていません。以下は一般的な概念式です。

年間実質利益=市場収入-充電電力費-設備劣化費-市場運用費-ペナルティ-機会損失ROI(投資収益率)=年間実質利益÷初期投資額

前提条件として、市場ごとの約定量、充電電力価格、設備効率、劣化条件、SOC制約を案件ごとに設定する必要があります。見落としやすいのは、実効性テストの3時間だけを計算し、その前後の充電費用や、参加できなかった別市場の収入を除外してしまうことです。

何がまだ未定なのか

何がまだ未定なのか

1.テスト前後の充電を緩和対象にする予定は示されていない

EPRXは、テスト前後の時間を1.0倍特例へ含めることについて、「現時点では想定していない」と回答しています。
これは2026年7月1日時点の取り扱いが決まったという意味であり、将来にわたり永久に変更しないと決定したものではありません。
ただし、次回の見直し時期や追加緩和の条件は示されていません。事業計画では、当面、前後充電が特例対象外であることを前提にする必要があります。

2.不適合回数の日単位化は決定していない

意見募集では、アセスメントⅡの不適合回数を日単位で数えるよう求める意見も出されました。
EPRXは、その意見をOCCTOへ連携すると回答していますが、日単位へ変更するとは決定していません。
これは今回の改定事項ではないため、2026年7月1日からは公表済みの取引規程と取引ガイドに基づいて管理する必要があります。

よくある誤解(Q&A)

Q

ペナルティ1.5倍とは、事業収入全体に1.5倍の罰金がかかるという意味ですか?

A: いいえ。需給調整市場のアセスメントⅠで、ペナルティ料金を算定する際の倍率です。

Q

代替不可申請をして1.0倍になれば、金銭的負担はなくなりますか?

A: いいえ。1.0倍は完全免除ではなく、EPRXはΔkW料金のリリースと説明しています。

Q

容量市場と需給調整市場が重なったら、必ず容量市場を優先しますか?

A: いいえ。通常の発動指令では、機器点参入は発動指令、受電点参入は調整力指令を優先します。実効性テストとの競合は、参入点を問わず実効性テストを優先します。

Q

申請に遅れても、後から様式25を出せば救済されますか?

A: いいえ。代替不可申請が行われていなければ、倍率1.0倍や不適合回数除外の対象にはなりません。

出典(一次情報のみ)

一般社団法人 電力需給調整力取引所「需給調整市場 取引規程類の改定に関する意見募集結果および改定について(2026年7月1日付)」

https://www.eprx.or.jp/j_information/docs/260618_news.pdf

発行日:2026-06-18 改定日:2026-07-01 参照日:2026-06-19

一般社団法人 電力需給調整力取引所「需給調整市場 取引規程類の改定に関する意見募集について(2026年7月改定予定)」

https://www.eprx.or.jp/j_information/2026/05/11_0955.php

公表日:2026-05-11 意見募集期間:2026-05-11~2026-05-21 参照日:2026-06-19

一般社団法人 電力需給調整力取引所「取引規程改定に関する意見募集の結果(ご意見一覧)」

https://www.eprx.or.jp/outline/docs/kaitou_260618.pdf

公表日:2026-06-18 参照日:2026-06-19

一般社団法人 電力需給調整力取引所「需給調整市場に係る取引規程等の公表」

https://www.eprx.or.jp/outline/announcement.html

最終版掲載日:2026-06-18 実施日:2026-07-01 参照日:2026-06-19

電力広域的運営推進機関「第60回需給調整市場検討小委員会・第77回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会 資料2 発動指令電源の機器個別計測での扱いについて」

https://www.occto.or.jp/assets/iinkai/jukyuchousei/60/jukyu_shijyo_60_02.pdf

発行日:2026-03-03 参照日:2026-06-19

一般社団法人 送配電網協議会「余力活用に関する契約に係る余力の運用規程等の公表」

https://www.tdgc.jp/yoryoku/announcement/

第5版実施日:2026-07-01 参照日:2026-06-19

一般送配電9社「余力の運用規程 第5版」

https://www.tdgc.jp/yoryoku/asset/download/docs/announcement_regulations_v5.pdf

改定・実施日:2026-07-01 参照日:2026-06-19

一般送配電9社「余力の運用規程 新旧比較表」

https://www.tdgc.jp/yoryoku/asset/download/docs/announcement_regulations_comparison.pdf

改定日:2026-07-01 参照日:2026-06-19

監修者

監修者 青栁 福雄

青栁 福雄
Aoyagi fukuo

Energy Link 取締役 COO

系統運用・需要側制御・スマートグリッド分野の実務家。東京電力にて変電所の建設・運用・保守および大口顧客向けエネルギーソリューションに従事。マイエナジー出向時には2002年日韓ワールドカップの複数会場および国際放送センターの電源責任を担当。東光高岳では執行役員としてスマートグリッド事業を統括し、NEDO事業等に参画。2019年にEnergy Linkを創業し、分散型電源の導入・利活用を推進。

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